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ビクトリア朝時代「繁栄する国」とは

イギリス好きはとくに、ビクトリア朝時代のロンドンに憧れる人が多いと聞く。

ビクトリア朝時代というのは、ビクトリア女王が在位してた時代(Victoria Era 1837年 から1901.年まで)

この時代はイギリス帝国の絶頂期

政治・経済・社会面で繁栄し、しかも圧倒的な海軍力を持って、多くの植民地や自治領を所有してたことでも有名だね~。

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大邸宅の、こんな部屋でくつろぎ・・

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侍女にかしずかれ、
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この当時の貴婦人たちの間では、フランス人のメイドを持つことがステータスだったとか(笑)


ビクトリア朝時代というと、つい、こんな上流階級の暮らしをイメージしがち。


ところが、当時のイギリスは、凄まじい階級社会

家の使用人たちの中にも階級があって、執事侍女は使用人の中では上の位の人たち。

下っ端の使用人ともなると、なるべく主人には姿を見せずに働くことが義務付けられていたそうだ。

使用人たちに与えられた寝室も作業場も地下が多く、1日中日の当たらない場所で働いて寝るだけの生活だったという。
Franck Antoine Bail Two Milkmaids1906

しかも原則休みなし、12時間~16時間もの労働は当たり前。


奥様の風呂タイムなんてことになれば、水汲み専用の使用人は、木の桶に水を入れて何往復もするわけで・・しかも3階のお部屋まで・・な~んてことになったら、たまったもんじゃない!

風呂だけじゃなく、トイレだってオマルみたいなもので用を足して使用人がその始末をするわけだ。


それ、どこに捨ててくるんよ?

19世紀後半に下水システムが出来上がるまでは、穴掘ったところに溜めておいて川に流していたとか。

ロンドンの街中の住人たちは、そのままテームズ川に放り込んでたとか。


そりゃ、テームズ川の汚染はひどくなるわけだ!


おまけに当時の家には煙突があり、さらに産業革命で工場も増えて煙突がさらに増え、1日中もくもくと煙突から煙は出て・・

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霧のロンドン・・な~んて美しげな言葉があるけど・・あれって、実はスモッグだったんだって(笑)

川は汚染され臭いにおいを放ち、街はスモッグで覆われていたのがロンドン。



一部の上流階級を除く、庶民の生活はひどいものだったという。

とくにホームレスの子供たちが溢れかえっていたそうだ。
なぜなら、子供は親の稼ぎ手として、どこの家でも多産だったらしい。 小さい頃から働かせて親は稼ぎをピンハネするのが当たり前。(←悪いこととは誰も思ってない時代)


そうなると、稼ぎの悪い子は捨てられたり追い出されたり・・といらなくなった子供も増えてくるというわけで、

そんな子供たちは餓死するか泥棒になるか・・・。


子供に一番多い仕事は「煙突掃除」だったそうだ。

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体が小さい方が、どんな煙突にも入れるからね。

驚くべきことに、なんと4歳から働いたという。

しかも、命がけ

足を滑らせて落下したり、掃除中に暖炉の火を起こされて燻されたまま窒息死しちゃったり焼死しちゃったり・・と

4歳だよ!!

もちろん、煙突掃除の子供が死んだところで問題視されるわけもない!


Chim Chim Cher-eeな~んて、古い煙突掃除の歌があったのを思い出したけど、なんだか、悲しい響きに聴こえてくる。



まるで、アメリカのゴスペルを彷彿とさせるような・・。




煙突掃除だけじゃなく・・ビンボー人の過酷な仕事は他にも色々あったらしい。
   ↓
10 of the Worst Jobs in the Victorian Era

この中のいくつか紹介すると・・

LEECH COLLECTOR(リーチコレクター)
川や沼で蛭を取って薬局に売る仕事・・・主に女性の仕事だったらしく、自分の手足に蛭を吸い付かせて獲るのだけど、汚い水と蛭のせいで感染症で死ぬ人が多かった。

PURE FINDER(ピュアファインダー)
名前はキレイだけど(笑)、街の通り中を歩きまわって犬糞集め。
当時は、皮製品の製造過程で犬糞が使われていたんだって。


TOSHER(トッシャー)
ロンドンの地下下水道に入って、大都市の廃水を振るいにかけて、流れてきた貴重品(コインだとか、銀のスプーンだとか)を拾い集めて売って生計をたてた。
時には大量の汚水に飲み込まれるわ、ネズミの群れもいるわ、汚染物質と病原菌の巣でもあって、命を落とす人も後をたたなかった。

MATCHSTICK MAKERS(マッチスティックメーカー)
マッチ棒作りのこと。 主に10代の女性が多かったとか。
マッチ棒の先に、白リン(毒性の強い化学物質)を浸して作る作業で、これを12~16時間ぶっつづけで食事しながらも働かされたせいで、有害物質が口から入り、アゴの骨が感染して、その結果みるも無残な顔面になってしまう人が多かったそうだ。

phossy jawという職業病



いずれも、超がつくほど汚い仕事で、事故死を免れたとしても毎日が感染症と隣りあわせ、健康で長生きは絶対ありえないような仕事ばかり。

大邸宅の下働きに雇われた人の方が、ずっ~とマシだったんだろうね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この当時の日本はといえば・・江戸時代だ。

江戸の街とロンドンを比較してみよう。

結論から言っちゃうと、江戸庶民の生活レベルは明らかに上。

まず、汚物処理が完璧。 汚物は全部集めて農家へ運ばれる。 完璧なリサイクルなんで、川に投げ捨てなんてしない。

とくに江戸の街はベニスのような「水の都」。 
船宿というのがあって、タクシー代わりに舟を手配してくれるところがいっぱいあったそうだ。 当然、物資の運搬にも利用されていた。

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江戸幕府が開かれたときから、治水工事、道路の完備、城下の商業発達には力を注いできた賜物なのだ。
なぜか日本の治水技術の水準は非常に高度だ。

しかも、どこの家でも、自分の家の外の通りを掃き清めて打ち水までする習慣があったから・・道路だってキレイなのだ。

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汚物を通りに投げ捨てるなんて・・日本人にとってはとんでもないこった!



以前のブログにもアップしたけど・・江戸の女性の職業だってかなりあったわけで、他国と比較して男尊女卑なんてものはない。
   ↓
男尊女卑というジェンダー史


貧しい子供たちは川で蜆やウナギを取って売り歩いたという。(川の水もキレイだったからね~)

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https://www.kumon-ukiyoe.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=1782

父ちゃんが病気で寝たきりなんでオイラが蜆売りしてるんだ~!な~んて言えば、親孝行の良い子じゃ!と頭を撫ぜられ、大人がこぞって買ってくれたという。。。


貧しいロンドンの子供たちとは、そこからして「貧しい」という意味がぜんぜん違う。


「お天道様と米の飯はついてまわる」と言われてたほど、貧しいながらもなんとかなっちゃうのが江戸。


この時代には、ロンドンにも江戸にも、「児童法」なんてものはなかった時代だけど、法が無くても江戸庶民たちは「子供は国の宝」と言い、親だけでなく地域共同体としても面倒を見ていたところがある。

子供に危険な仕事なんてさせるわけがないのだ。



また、同様に「厳しい身分制度」はあったものの・・日本の場合は、かなり「融通が利く」のだ。

天璋院篤姫さんだって・・遠縁の分家?とか言われてるけど、かなり身分は低いお方。
薩摩藩主島津斉彬の娘で、近衛家の養女という「名目」を作って、将軍の正室になっちゃった人。

いちおう、名目さえ整えておけば、ま、いいか~ってのが日本。


これまた、「厳しい身分制度」の意味が、イギリスとはぜーんぜん違う!
イギリス社会の階級制度とはぜーんぜん中身が違う。

イギリスの上流階級の人たちは使用人とは原則として口を聞かない。

執事や侍女であっても、完全に主従の関係を保ち、命令は絶対だし常に敬語を使って話すのは当たり前。



ところが、アメリカの場合は、またちょっと違う。

13339833-イギリス対アメリカ

当時のアメリカの大富豪ともなれば、やはり使用人がいっぱいいて、奥様お嬢様には侍女がついてたそうだけど・・

主従の関係ではあっても、仲良くなってくると、友達のように相談しあったり軽口を叩いたりもしてたそうだ。

そこがまた、イギリス貴族からみれば、非常に「みっともないこと」「品がないこと」とされたらしい。

もっとも、当時のアメリカの上流階級というのは、鉱山で一発当てて大金持ちになったような人が多かったわけだからね。
元をただせば、自分だって同じ釜の飯を食ってきたという人も多かったせいだろう。


とにかくイギリスの階級意識はかなり凄いのだ(笑)

これは1980年代後半に、イギリスの庭園技術を学ぶために、イギリス留学した人から聞いた話。

まず、師匠となる庭園師の家にホームステイさせてもらうことになり、初日に庭園師に連れられてお屋敷にご挨拶に伺ったそうだ。

そのお屋敷というのが、代々庭園師が雇われていたご主人にあたる家(元貴族の家)
奥様が出てきたので、庭園師と共に挨拶をすると・・・ガン無視!されたそうだ。

なんなんだ!! なんて失礼なヤツ!と思ったそうだが(笑)

日本からはるばるやってこようがどうしようが、しょせん、自分とこの使用人の家に厄介になるヤツだったら使用人と同じ身分の者。
身分が違うんだから、上のものがまともに挨拶を返すわけがないよね!

それがイギリス流の階級制度の常識





さて、ここで話をもう一度、ビクトリア王朝時代に戻そう。

あるとき、ビクトリアの夫、プリンス・アルバートは、ロンドンの下町で多くの惨めな子供たちをみかけて、ビクトリアに言ったそうだ。

この人
 ↓
Prince-Albert-1842.jpg
https://www.lakewanaka.co.nz/explore/the-prince-albert/

「きみはもっと庶民の暮らしを気に掛けるべきだよ。 4歳か5歳くらいの子供が物売りをしているんだよ」

ところが、ビクトリアはこのアルバートの発言にムッとしたまま。 アルバートは今度は首相のメルバーン卿に訴えたのだが、やっぱり無視されたままだったという。


世界に誇る大英帝国には「貧民救済」という観念すらなかったようだ。


一方江戸時代は、火災や地震による飢饉になれば、幕府や藩によって「お救い小屋」が建てられ、無料でお粥を配ったというし、豪商の中でも私財からお救い小屋を作った人もいたそうだ。

医療施設としては、小石川養生所なんてのも有名。 
貧しい人を救済するため無料で診察、入院もできたという。

koisikawa.jpg
http://mamechishiki.aquaorbis.net/mamechishiki/0110-koishikawa-youjosyo/


つまり・・・当時のイギリスでは、下層階級は人として扱われてなかったということだ。

そんなわけで、中産階級や下層階級の話や文化など、伝えられているものは非常に少ない。


ステレオタイプのイギリスといえば、紳士の国だとか、紅茶好きアフタヌーンティーなんて言葉ばかりだもんね(笑)

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紅茶が飲めたのは上流階級だけ!! それ以外の人の飲み物といえばビール🍺
しかも、安ビールは水を加えて味を胡麻化すために砂糖を少し混ぜてあったとか。


当時の庶民文化を示すものとしては、唯一、ディッケンズは下層階級を主人公にして弱者の視点から社会を風刺した作品を残したことでも有名な人ではあるけど・・

Charles John Huffam Dickens

下層民の子、オリバーツイストにしても、実は金持ち紳士のゆかりの子だったとわかって、最後はリッチな家の子になるって話だったし・・・

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また、バーネット小公女セーラだって、最後はまた大金持ちに戻っちゃう話だったからなあ。

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子供が主役でハッピーエンディングの話にするなら、当時のイギリスで、貧しいままでハッピーエンディングというのは、あまりにも無理があったのかもしれない。 



ビクトリア朝時代というものが、おわかり頂けただろうか?


江戸もロンドンも百万都市と言われていたものの・・・

産業革命を成し遂げて最先端をゆく世界一裕福な国家といわれ、バッキンガム宮殿、ビックベン、ウエストミンスター寺院、石畳にガス灯の街並みでも・・・街も川も汚染され臭いにおいが漂い、通りには餓死者の死体も転がっていたというロンドン。 特に子供の死亡率は大人の数倍だったという。

産業革命で工場は多くても、文化はこれといったものがまるでなかった国。

上流階級でさえ、フランスやイタリアの文化をそのまま持ってくるしかなかった国。


事実、ビクトリア朝時代に英国の伝統料理はほぼ破壊されてしまったと言われている。

庶民は、長時間労働で働かされて搾取されてたせいで、料理を作るヒマもなければ娯楽も文化も生み出すヒマさえなかったからだ。

なるほどね~、だからイギリス料理はマズイ!って言われるようになったんだろうなあ(笑)



それに比べて、江戸がどんだけ庶民に優しい街だったことか。


つくづく思うのだけど・・国民全体という視点において言わせてもらうなら、日本こそが世界一だったような気がしてならないのだ。


児童法すらなかった時代なのに、人々の道徳観の中で子供は大切に扱われてきたことをみても、ビクトリア王朝の人々より、ずーーと心も豊かだったのではないだろうか?

大人は子供を大切にし、子供も自主的に親孝行をしようとする。 しかも笑顔で。


心の豊かさは、当然、庶民文化も華開き、多くの料理も考案されるようになっていったのもこの時代。

天ぷらそば、ウナギのかば焼き、鳥鍋、軍鶏鍋など考案されたのも江戸庶民の文化の中からだ。



ビクトリア女王に聞いてみたい。

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良い国とはどんな国だと思いますか?と。

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アリゾナ州セドナにて、アクセサリー工房Alizona*銀の月*をオープンしてる銀月です!

日々の生活や体験の中から、社会のこと、スピリチュアルなことなど・・思いつくままに書きつらねてます。

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