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ラスベガスという街の現在

こちらは、3月18日づけのLos Angeles Timesの新聞記事なんだけど、ラスベガスについて書かれたもの。
Coronavirus shakes Las Vegas casinos like never before

なんかすごく上手な文章だなあ~と思ったので、翻訳したものを掲載します。
(私が翻訳してしまうとぜんぜん良い文章じゃなくなっちゃうんだけど・・そこんとこはお許しください。)


ラスベガス・・・時計が夜中の12時を打つまえに、ラスベガス・ストリップを横切ったところに立ち並ぶカジノでは、武装したセキュリティーガードたちがバカラのテーブルからチップを集め終わっていた。スロットマシーンのスクリーンはすべてブラックアウトし、バーテンダーたちはワインやリカーのボトルを棚から取り除いていた。

ブラックジャックのディーラーは、それよりも先に、この「シュールなまでの異常事態の展開」を察知し、清掃係たちが消毒剤を撒いてドアの取っ手などを拭いてまわっている間に、スマホで自撮りしていた。

ハイローラー(高額の掛け金でゲームする人々)は、荷物をまとめている。エンターテナーやミュージシャンたちはそれぞれの家や故郷にと戻っていった。

このハスラーと夢追い人で成り立つ街、全米の栄枯盛衰に乗じた街は、水曜日にいきなりのシャットダウンとなり、今までにない変化がおとづれた。

「私は35年もの間ストリップで働いてきたけど、カジノがこのようにシャットダウンしてしまうなんてことは今までみたことがないね。」と、トレージャーアイランド(ホテル&カジノ)の従業員はボトルのジュースを注ぎながら、そう言った。

「唯一、これはオープンする前と同じだな。」

1403px-Las_Vegas_Strip_panorama.jpg

Las Vegas Strip
まさか勘違いする人はいないと思うけど・・ストリップって裸ダンスのことじゃないからね~。
ラスベガスの有名なカジノ&ホテルが立ち並ぶ一番キラキラした界隈のことを、ストリップ(The Strip)と呼ぶのだ。


朝までコロナウイルスの話は絶え間なく続いでいたが、、もはやたばこの煙がカジノのフロアーを包むことはない。
マシンのビープ音や、ルーレットテーブルの唸る音、常連客のおしゃべりさえもが無くなった今、スピーカーから流れる音楽が大きくハウリングして響いてくる。

おそらく、ラスベガスほどアメリカン・スピリットを正確に反映させる街はないだろう。
夢の詰まった街・・たとえその夢が大きかろうと小さかろうと夢追い人の街に変わりない。
そして、砂漠の中にさんぜんとネオンが輝く、野望と楽観がつまった街でもある。

ほんの少しの運と細やかなワーク倫理を使えれば、人々は家を買い他のどこの場所よりも快適に住むことができるだ。


しかし、まるで金メッキされたコインが裏返ってしまったかのような痛ましいことが起こった。
火曜日の夕方、スティーブ・シソラック知事は、州全体に渡ってゲーム、バー、レストラン、映画館、ネイルサロンなど、必須ではないと見なされるビジネスの閉鎖を命じると発表した。
それは真夜中のカジノから始まり、5400台のテーブルゲームと163,000台のスロットマシンを備えたネバダのギャンブル業界にブレーキをかけるのに6時間弱かかった。

世界的なコロナウイルスのパンデミックと米国での増加により、旅行と観光は実質的に停滞した。 
それはラスベガスにとって壊滅的なものだ。 ストリップの不動産だけで年間66億ドルの収益を上げている。
2018年、ネバダ州南部のホテルとカジノの従業員数は約164,400人で、この地域の総雇用の16.8%、全民間雇用の18.7%を占めているのだ。

ラスベガスのシャットダウンは重大であり、且つ深い意味を持つ。
ほぼすべてのものを可能にする都市の中で、この規模の閉鎖は、明確な一撃を与えることだろう。
それは、アメリカの魂(American psyche)--希望とこの国への自信の核心部分に対して打撃を与えるということなのだ。

メトロポリタンエリアの220万人を超えるこの都市は、1905年にカリフォルニアとユタを繋ぐ道の駅として設立された。
そして、今では米国経済の移り変わりをしっかりと固定した街となっている。

物事が良く進んでいるときは誰もが良いものだ。 悪いニュースがあってさえ、ここに住んでいる人の多くは免疫力を持ち影響されることはない。 しかし、今や物事は悪いのだ。
火曜日の時点で、クラーク郡でCOVID-19の患者が42人確認され1人が死亡した。
全国で確認された症例数は7,769人に増え、118人が死亡した。


ラスベガスで唯一頼れるものがあるとすれば、それはカジノに絶え間なく流れている喧噪だ。 チップを置くパチリという音、スロットマシンからの陽気に流れる電子ノイズ、クラップステーブルで時折、誰かが大勝ちしたときに聴こえてくる「爆発的なグッドラン」の歓声。
しかし、それは、少なくとも今のところ、乾燥した砂漠の空気の中で蒸発してしまったかのようだ。

注:クラップス (Craps) とは、2個のサイコロの出目を競うゲームの一つで、バカラ同様ハイローラー(大金を賭けてゲームをする人)が愛好するゲームでもある。

複数のディーラーとマネージャーに確認したところによれば、このようなシャットダウンは今まで一度も発生していないという。
2008年の金融危機の間でのも、9/11でもなかったことだ。 また2017年のルート91におけるハーベストフェスティバルでの大量射撃事件の後でさえ。・・これは59人が死亡した米国の歴史の中で最も最悪といわれる大量射撃事件だった。

今まで一度もなかったのだ!

この業界25年のベテランであるあるディーラーは、何らかの理由でラスベガスのカジノが最後に閉鎖されたのは、JFKが暗殺された後だと語った。 「ただしそれは1日だった」と彼は言っている。


前例のないこのシャットダウンをみると、それはすべてが恐ろしいまでの迅速さでしかもスムースに起こっている。 この1週間の観光客の減少により当初からスローな状態だったゲーム分野は、ほとんどもめ事もなくクローズされた。

ベネチアンのフロアにいた一人の男性は、ブラックジャックにもう一手投じようとして、テーブルに100ドル札を投げこんだ。
「もう、これまでです!」とディーラーは言うと、男は抗議した。 
フロアマネージャーがやってきて「テーブルはクローズされました」と言い、続けて「カジノはクローズされました。 市もクローズされました。」と言った。


一方、バラバラにやってくる少数の旅行者にとっては、それはいつものような光景だった。

日常のストレスから脱出したいがため、大人の遊び場で最後の数分間を掴むか、あるいは、数時間前に外出しないように嘆願したシソラック知事に無関心であるかどうかにかかわらず、Grand Luxeカフェ(ベネチアンの中に入ってる)で、仲間たちと最後の夜に、チップを砕いてそれをサルサの中に二重に浸しながら、乾杯して終わることを選ぶかは。



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パデュー大学の学生であるカレブ・ブチンスキーは、トリプルキャッシュホイール(シーザースにあるゲームの種類)に座って、ラーストミニッツの迫る中でプレイをしていた。

「私はこのマシンの前に座ってる。 それは今の瞬間、私にとっては良いことだって思うからね。」と彼は言った。
彼は、スピンをしながら、このシャットダウンは「道徳的に正しいこと」と述べたが、彼はコロナウイルスが都市と国に影響を及ぼすことについては、決して楽観的には見ていなかった。
「これを止めることは風を止めるようなものだ」と彼は言う。



接客業や単発労働者たちは、同僚たちが解雇されていくことで迫り来る災害を数日前に感じとっていた。

39歳のサック・ロペスの場合もそうだった、5日間の予定だったConexpo-Con / Agg建設見本市がコロナウイルスの影響で24時間早く終了してしまい彼は売店での職を失った。 シカゴ出身の彼は2019年12月にシン・シティ(ラスベガスの別名)に引っ越してきたばかりだった。 その仕事を失うことで彼は300ドルの損出を被ったという。

それでも彼はまだ自分がラッキーな方だと考えている。

彼には貯蓄したお金と家族があり、故郷に戻り、大変な時期に彼をサポートしてくれる安定した仕事を持つことができるだろう。
彼はルームメイトと共有する3ベッドルームの家で家賃に費やす650ドルを除いて余分なお金は持ってはいない。
食べ物や飲み物を買って友達と出かけることもなく、彼は家にいて、お気に入りのテレビ番組「ウォーキングデッド」を見ることにしているという。


ラスベガス出身の彼の友人たちは、もっと不安定な状況に置かれている。 彼らの多くは一人ではなく家族を持っている、そして、職を失うのだから。

「彼らはパニックになってる。 彼らの声のトーンでそれを感じてしまうよ。」とロペスは言う。

それでも、彼は時々自分のこれからの現実を考えると不安になる。
「今現在、すべてこれから始まることだから。」と彼は言う。


フリーモントストリートには、ラスベガスで最も古い、一軒の独立したバーがある。 アトミック・リカーズ(Atomic Liquors)というバーだ。

Atomic-Liquors-Twilight1.jpg

その名は1950年代に近くに行われた核実験に由来している。地元住民は屋根から爆風を見守っていたという。
参考に
 ↓
かつて核実験場、未来の処分場? ネバダの砂漠に見えた、核と人類の歴史


Atomic-Liquors-Twilight2.jpg

ここでは、ほとんど致命的とも言える叫び声が響き渡っていた。

アトミックバーテンダーのファロン・パーマーは、4年前にラスベガスに引っ越してきた。 彼女は最初、自分の状況については楽観的だった。 彼女にはいくらか貯金があり「事はまたすぐに再開するだろう」と彼女は思っていた。

「しかし、そうなったとき、人々はお金を持っているのだろうか?」

「多くの人が数週間だと思っていたと思うけど、もう30日経ってしまった。 これはあまりにも長い!2回分の給料じゃないか。」と、Tony Hsiehの中小企業投資インキュベーターであり、ダウンタウンプロジェクトのジャスティン・デスマレーは言う。
*アメリカでは給料は2週間分づつ支払うのが一般的

6歳のときからラスベガスに住んでいるデスマレーは、まだ仕事が出来ているし幸運だと考えていた。

「しかし、これは確実に地元住民に影響を与えるだろう。 破産を宣言しなければならない人々や家賃を払えない人が・・・。」

ケリーグリーンのAtomic Liquors Tシャツを着た長い髪のバーテンダーが立ち止まり、ビールと混合ドリンクを十分に長く注いでから、私を見つめ、笑顔を向けた。
そして、「黙示録へようこそ」と言った。



以上です。

lasvegas1.jpg



日本の方々にとって、ラスベガスというのはギャンブルの街という認識だけだろうし、ましてはこのご時世なんだから、ギャンブルの街なんか、街ぐるみシャットダウンしするのは当然だろうと思われるかもしれない。


しかし、ラスベガスというところ、ただのギャンブルの街ではあるのだけど・・それだけじゃないのだ。

アメリカの魂、精神、夢、野望、情熱も儚さも、あまりにも人間的過ぎるすべてを凝縮してしまったところなのかもしれない。

それだけに、言葉には言い表せない、不思議な思い入れがある街でもある、かなり・・特殊な街なのだ。

まあ、私自身は特別好きな街というわけじゃないんだけど、そういった感覚はよくわかる。
ここまで徹底的に人工美の粋を集めて作った街はどこにも存在しないと思う。

わかるがゆえに、どんな心境でこの記事を書いたのか、このライターの心情が伝わってきてしまうのだ。


ずっと以前にも別サイトで、ラスベガスの歴史を書いたことがあるのだけれど、
ラスベガスの誕生マフィアの時代ハワード・ヒューズの時代スティーブン・ウィンの時代

そもそも古いアメリカ、それもアメリカ西部の歴史と密接に関わる場所だ。

header.jpg

もともとは砂漠のど真ん中で、キャラバン隊が唯一休める水のあるオアシスだったところから発展していき、ゴールドラッシュの時代を経てマフィアの時代を経て、投資家たちの時代と変貌を遂げていった街なのだ。

マイヤー・ラーンスキーなんてマフィアの大物が目をつけ、

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後にフラミンゴ・ホテルで有名になったバクジー・シーゲルが送り込まれて、さまざまなドラマがあり

bugsy.jpg


天才的買収王と呼ばれたハワード・ヒューズ
haward1.jpg

大きく関わっていた街でもある。

*上の記事の中にあったカフェは、ホテル・ベネチアンの中にあり、当時では巨大な6.000室を持つホテルだったという。
この建設はハワード・ヒューズが生前に切望していたものの死んだあとに完成したという、彼の思い入れの深いホテルなのだ。


ホテルにおける怪談が好きな人ならば、ラスベガスに行けば、山ほど「いわくつきの場所」が存在しているのだ(笑)



アメリカの精神が西部開拓者魂にルーツがあるとすれば、それはまさしく、ラスベガスそのものといるのかもしれない。

それだけに特殊な場所であり、ただのギャンブルの街とは言えないような、歴史的にも多くの著名人たちの「思い入れ」がいまだに息づいている街でもある。

おそらく・・ラスベガスが消えるとしたら、アメリカすべてが消滅していく序章なのかもしれない。

それを、この記事を書いたライターも感じ取っているんだろうなあ、と思ったのだ。

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