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ベートーベンから学生時代を思い出した日

「僕はベートーベンの音楽って重た過ぎてあんまり好きになれないんだよなあ。 やっぱ苦労の人生だったから重たくなっちゃうのかな?
耳が聴こえないなんて音楽家として致命的だもんな~。」


オフィスの同僚がそういって、私に同意を求める(笑)
私が音大出身だから、クラシック通だと思ってるらしい・・・あまりにも昔のことで、ほとんど忘れてるつーのに!

う~ん、どうなんだろう?


遠い昔の音大時代にタイムスリップする。

私の同期のピアノ専攻に、ベートーベンとピンクレディのオタク男がいた。

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これはね、もう、人生を突き抜けた音楽なんだよ! と、いつもキラキラお目目で熱ーく語っちゃうような・・実に「暑苦しい男」だった。



「あと、僕は、アメリカ音楽は嫌いだけど、イーグルスだけはいいなあ。
イーグルスは、もうちょっとで突きぬけそうになってるからね~。」


とも言っていた。

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意味不明。。。

ベートーベンとピンクレディーとイーグルス?



当時の音大は、ピンクレディーとイーグルスファンが身近にいなかったせいか、彼は誰にでも、ベートーベンの話ばかりをしまくってた。


「ベートーベンはね、初期の頃は別にどうってこともないんだけど、30過ぎたあたりから、それも耳が聴こえなくなってからが素晴らしいんだ。
とくに、後期の作品はゾクゾクするね~。」



ベートーベンという人、今では大音楽家として知られてるけど、同時に、不幸な人生でも知られてる人だ。

★ビンボーに生まれ、当時の音楽家として必要だったパトロンも持たず、最後の方では、家族問題の裁判沙汰でも苦労している人。

★おまけに、失恋しまくりで独身のままだった人。
(恋多き男だったらしいけど・・恋に落ちる相手がいつも身分違いで、いわゆる貴種好みだったともいわれてる)

★カトリック家庭だったらしいけど・・ゲーテやシラーに近い思想の異端児。
政治思想はリベラル派・・一時ナポレオンを賞賛し彼に捧げるための交響曲を作曲したけど、ナポレオンを俗物と悟って、表題を削ってエロイカとした話は有名。

★40歳頃にはまったく聴こえなくなり、多くの病気に悩まされながら、後世に残る有名作品を生み出している。





子供の頃はビンボーのドン底。

父親は飲んだくれのアル中だったし・・宮廷歌手だった、祖父ちゃんの収入に頼って生計を立てていた。

祖父ちゃんが亡くなると、飲んだくれオヤジは、ベートーベンの才能に目をつけて、「ばっちりカネが稼げるピアニスト」にしようと企みスパルタ教育を始める。

スパルタってのは聞こえがいいけど・・実際は殴る蹴るの暴行の連続。 
言い方を変えれば、「児童虐待」だったかも。

7歳のときに演奏会に参加させられ、それ以降、祖父に代わって家系を支え続けたという。

母が他界し、次に父が他界してしまった頃になると、ピアノの即興演奏家として世間の評判もよかったようだが、それもつかの間。
次第に耳は聴こえなくなっていく。

そこでピアニストを諦めて、泣く泣く作曲家一本に転向したという説もある。

が、当時は現在の事情とは、ちょっと違う。

現在のような、ピアニスト、作曲家、指揮者・・といった、完全分業化してない時代だ。

ピアニストならば、ピアノの即興演奏もできたように、一人ですべてを兼ねてることが多い。
モーツアルトの即興演奏は超有名だし、彼もまたピアニストであり作曲家でもあったわけだ。

違う分野で言うならば・・数学者であり哲学者でもあり科学者、みたいなものかな~。



「難聴は音楽家としては致命的」・・・これも、ちと違うかな~と思う。

幼い頃からピアノを弾いてりゃ、どのキーからどんな音がするか体でわかってる。

耳が聴こえなくたって弾ける。

自分の奏でた曲を耳で確認することはできないけど、頭の中では音は聴こるものだ。


作曲にしたって、楽器がなけりゃ出来ないってわけじゃない。


そういえば、我々の音大時代にも「楽器無しで作曲課題」をさせられたこともあった。

「8小節くらいのテーマを与えられて1時間以内に作曲を完成させる」ってテストもあったかなあ。

この程度なことなら、凡人の音大生だって出来ることなのだ。

まして、ベートーベンに出来ないはずはない。



音楽史の講義のとき、教授が熱く語ってたことを思い出した。
(音大には、結構・・暑苦しいヤツらがいた。)

「歴史上偉大な作曲家は、5人のBのつく作曲家だ!

Bach(バッハ)
Beethoven(ベートーベン)
Brahms(ブラームス)
Bartok(バルトーク)
Beatles(ビートルズ)


で、5大Bってわけだ!」



おいおい! 最初の3人までは、クラシック界ではドイツ3大Bって言われてたはずだけど・・

バルトーク?

ビートルズ??

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この教授は、具体的にビートルズの曲を持ち出し・・

「ほらね、ここんとこのコード進行を見てごらん?
見事なまでの逆進行を使ってるだろ?
しかし・・これほど美しいものはないよ! もう、天才としか言えないだろ!」


この男も、とにかく、熱い!



音楽というのは、とくにクラッシック音楽にはというものがある。

その型をはずれると、メチャメチャにこき下ろされることになる(笑)

ぞれぞれの時代に、それぞれの常識というものがあって、常識をはずれれば、型破り、邪道・・といわれて受け入れられない事が多い。


この5大Bの共通点は、まさにそれ!(笑)

別の言い方をすれば・・

「従来の常識を超えた画期的なことをした人」ともいえる。


1910年に出版されたある本には、こんなことが書かれている。

It was common knowledge in his time that Purcell was a blundering experimenter, Bach did not write correct fugue, Beethoven perpetrated ugly progressions, Wagner was a charlatan, Richard Strauss was and remains to many a danger-signal, and Claude Debussy a nightmare. (Arthur G. Potter, 1910)
https://www.amazon.com/Tonal-Scale-Harmony-Explained-Examples/dp/B002RWKUUE

「偉大な作曲家の当時の評判はひどいもの、と相場がきまっている。

パーセルはいろいろ試して結果はいつも大失敗、バッハはフーガの書き方がわかっちゃいない、

ベートーベンのコード進行の汚さは犯罪レベル、ワーグナーはインチキ野郎で、

リヒャルト・シュトラウスは当時もヤバいが今もヤバい、

ドビュッシーにいたってはもうナイトメア!と。」





ベートーベンのコード進行の汚さは犯罪レベル?(笑)

1910年じゃあ、まだビートルズは登場しないけど、ビートルズ批判も聞いてみたかったなあ。



とにかく、ベートーベンは作曲において、とっても型破りなことをしている。

しかも、ベートーベンの有名作品といわれるものは、すべてと言っていいくらい「難聴」になってからのものばかり。


それ以前の前期作品は、古典派様式に忠実で、ハイドン、モーツァルトっぽいものが多かったそうだったけど、
いれ以降は、型破り(独創的)なロマン派の草分け的存在になっていく。



ある作曲家がこんなことを言っていた。

「ベートーベンのように耳が聴こえないということは、作曲家として、それほど辛いことはないと思う。
そりゃあ、彼ほどの人なら作曲はできるだろうけどね、
作曲した曲を演奏してもらって、それを聞くときこそが、作曲家としても最高の喜びなんだからね。」



そうか~、それもあるだろうなあ~。

ん? でも、ベートーベンは、どうなんだろう?と思った。


ひょっとしたら、ベートーベンにとっては、作曲することこそが喜びだったのかもしれない。


演奏はまた別モノだから。

そもそも、作品なんて自分の手を離れた時点で、それを受け取った人のものになってしまうのだ。

いくら、作曲家が、「ここは、このテンポで、ラルゴにしてね、 ここんとこは、だんだん音を大きくしてクレッシェンドで、ここはフォルテね~。」

Beethoven - Overture Prometheus Sheet Music Piano - Preview


なーんて楽譜にチマチマと注意書きを書き込んだところで、それを解釈する人、演奏する人によって、かなり違った作品になってしまうものだ。

演奏家の解釈によるところが大きいのだ。

つまり、自分の手を離れれた時点で、作品はみなさん個人のもの。


かえって耳が聴こえなくてよかったかも。
他人の演奏を聴いて、あ~、そこは違うんだってば!と腹をたてることもないわけだし(笑)



ベートーベンって人、難聴から全聾になったおかげで、後世に残すような作品を出せたのかもしれないって思う。


「耳が聴こえないから気の毒」 「音楽家として致命的」って考えるのは、五体満足のせいで、つい、表向きの五感に頼ってしまう凡人の思い癖に過ぎないのかもしれない。


えっと・・・どこで読んだものか思い出せないんだけど・・

「五感にばかり頼ってしまうと・・本来のものから遠ざかることがある。
五感(視・聴・嗅・味・触)ばかりに、頼るな。」


これを、なにかで読んだ覚えがある。 えっと~、ルドルフ・シュタイナーあたりだったかな??

満遍なく五感が働くおかげで、かえって、深い部分の感性と共鳴しない部分もあるのかもしれない。
たぶん、それが通常の人。



ところが、

盲目の画家だって、色がわかる人だっているのだ。

John Bramblitt(ジョン・ブランブリッド)は、アメリカでは知られた、盲目の画家。

2歳からの病気による合併症で、 ベートーベン同様、30歳前後で視力を失い、やがて全盲となったという。
そして、その頃から画家としての活動を始めたそうだ。

こちらは、彼の作品
    ↓
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指先の触覚だけで絵の具の色がわかるそうだ。

インタビュー番組で、
「青は、ちょっとザラザラした感触があってね、黄色はもうちょっと、モチっとしてて、赤ってのはね・・」

なーんて、ニコニコしながら、しゃべってるのを聞いたことがあった。

それを聞いてるうち、

私たち五体満足の人間ってのは、たしかに即座に色の識別はできるんだけど、それはただ識別してるってだけで・・

本当は、なーんも感じてないんじゃないだろうか!って思ったことがある。


大切のことは感じられることであって、目で感じようが指先で感じようが、どっちでもいいんじゃないか?

視覚も触覚も、表面的なものでしかなく、感じさせるためのツールでしかないんじゃないかな?


って思ったことがあった。



彼はすべての色が認識できて、自分で調合して色を作っていけるそうだ。

彼の脳内分析をした学者さんが、

「ジョンは、得た情報を、脳内でイメージ化し絵を描いていくことができるんです。
触覚、空間認識能力、記憶力、想像力など。
盲目になった代わりに、それらの能力が研ぎ澄まされたんでしょう。」
と言っていた。

ジョンに限らず、盲目の画家は、ちゃーんと世界中に存在している。



そんなことを考えると、ディサビリティなんてことは、別に特別なことじゃない気がする。

ディサビリティというのは・・身体障碍者でいいのかな?


知人で、専業主婦だけど・・掃除が苦手って人がいる。
旦那様がお勤めから帰ってくると、「あーあ、また、散らかってる!もう!」
と、いいながら・・まっさきに掃除を始めるとか。

まるで、のだめカンタービレに出てきた、千秋とのだめのような関係だと思った(笑)

世間では、おそらく「主婦失格」なんだろうけど・・夫には常に最高なアドバイスを与えて元気を与える人らしいのだ。
夫にとっては、最高の妻らしい(笑)


まさに、ディサアビリティーなんてものは、その程度のものかもしれない。

苦手なことは人に手伝ってもらって、自分が出来ることをみつけて、人に与えてあげればいいだけのこと。

誰にだって得意不得意なんてあるんだから。



ベートーベンも耳が正常だったら、後世に名を残すような人になれなかったかもしれないし、
ジョンも、こんなにも色彩豊かな絵が描けなかったかもしれない。

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何かを失うことによって絶望し、絶望した分だけ、彼らが得たものは大きいのかもしれないと思う。

少なくとも、彼らの到達した感性は、世情の事柄に邪魔されてしまうようなものでないのだろう。
世間に合わせた常識や、型といったものも、軽ーく超越しまったところに行きついてるのだろう。



学生時代の、ベートーベンとピンクレディーとイーグルス大好き、オタク男・・・

あ、思い出した!

彼の名前は、オイカワ君だった!



オイカワ君の好きなイーグルスの代表作に、ホテルカリフォルニアという名曲がある。

もちろん、訳詞もいっぱい出てるんだけど、この詩は解釈によってさまざまに受け止められるそうだ。

ま、それだけ・・意味不明の、わけのわからん歌詞ともいえる(笑)

フィッツジェラルドの香りがするロストジェネレーションを彷彿とさせるとか、ただの、ドラッグ中毒の歌だとか(笑)



私は、歌詞なんてあまり気にしないんだけど・・

それでも、あれれ~?と思った部分がある。


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車を走らせて砂漠を抜けて、ホテル・カリフォルニアに着いて滞在するってストーリー仕立てになってる。

そこで、ワインを持ってきて!って注文すると、

We haven't had that spirit here since nineteen sixty-nine
「ここには そのお酒(スピリット)は1969年以降置いてません」


って言われてしまう。

そして、もう一つ。

こんな歌詞の部分が出てくる。

We are all just prisoners here, of our own device
我々はみな自分のデバイスに捕らえられ た囚人


なんだこりゃ!

人はみな、自分で作った迷路にはまった囚人とでもいいたかったのか?



さっぱりわからないんだけど・・なーんとなく思ったことは・・

ベートーベンや画家のジョンは、きっと突き抜けちゃった。
たぶん、聴覚や視覚を失ったことをきっかけに。

でも、五体満足であるがゆえに、多くの人々は自分を見失うこともあるんかな~
自分でデバイスを作って押し込めちゃうからなんかな~
と。



オイカワ君が何を思ってたのかは知らない。

たしか・・オイカワ君は東北地方の資産家の息子で、家は代々政治家だったとか。
学生寮じゃピアノの練習が大変だからと・・練馬区の一軒家に、グランドピアノを置いてたことを思い出した。

そのわりには、ピアノの腕は大したことがなかったけどな~(笑)

彼は2年後にドイツに留学してしまい、その後の消息は誰も知らない。



いずれにしても、今では遠い遠い昔、私たちが19歳~20歳の頃の話だ。

ひょっとしたら、今頃私なんか足元にも及ばない音楽家になってるのかもしれない。

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Author:gingetsu2010
アリゾナ州セドナにて、アクセサリー工房Alizona*銀の月*をオープンしてる銀月です!

日々の生活や体験の中から、社会のこと、スピリチュアルなことなど・・思いつくままに書きつらねてます。

皆様にも「スピリチャアルの意味」「生きる意味」を感じて頂けたら、幸いです!☆

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