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エベレストでトップ・オブ・ザ・ワールドを目指す人々

少し前に、エベレストという映画を観た。

everest3d.jpg

2015年に制作されたアメリカ&イギリスの映画。
これは、1996年に, 実際にエベレストで起きた大量遭難事故の実話をもとに作られている。

さすがに・・3D映像のカメラワークには息を呑むばかりのド迫力。

この映画はセットも使わず、役者にはヘルパーもつけず、彼らは重い荷物を各自が背負い、まさに撮影も命がけだったとか。

そのせいか・・鬼気迫るものがあった。



実は、この遭難事故の映画化は、今回が初めてではない。
1997年にも、アメリカ映画として DEATH ON EVEREST (日本名: エベレスト 死の彷徨)というものもあったし、その他、多くの出版物も出回っている。

こちらはYoutubeにもアップされていたので、ご興味のある方はどうぞ

『エベレスト 死の彷徨』 DEATH ON EVEREST 1/6

エベレスト 『死の彷徨』 DEATH ON EVEREST 2/6

『エベレスト 死の彷徨』 DEATH ON EVEREST 3/6

『エベレスト 死の彷徨』 DEATH ON EVEREST 4/6

『エベレスト 死の彷徨』 DEATH ON EVEREST 5/6

『エベレスト 死の彷徨』 DEATH ON EVEREST 6/6

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

エベレストは、チベット(中国)側とネパール側にまたがる、8848mの山。

Mount-Everest.jpg


世界一の高さを持つ山のせいか、登山愛好家にとっては、なんとか登頂に立ちたい!と切望する人たちも多いのだろう。

なんせ、まさに・・頂上に立つことができれば、TOP OF THE WORLDなんだから。



エベレスト登頂を目指すには、いくつかのルートがある。


特に一般的なのは、

●ネパール側からの南東稜ルート (赤い線) South Col Route


●中国側(チベット側)からの北稜ルート (青い線)North East Ridge Route


adventure1.jpg
https://blogs.yahoo.co.jp/discus11199/14857023.html

この二つのルートは難易度が低く登頂率が高い。 そのため山頂を目指す多くの登山者が利用する。

とくに、サウスコルルート(南東稜ルート)は、ノーマルルートと呼ばれるほど、比較的ラクだし人気のあるルートだ。(赤線のルート)

拡大したものが、こちら
  ↓
pic07_01.png

通常のエベレスト登山期であれば、ここは熟練の登山ガイドによりルートにロープが据え付けられ、氷の割れ目にははしごが設置されている。

だから、それに従って進んでいけば、アイスフォールクレパスも抜けることができるので、苦心して自分でルートを探しながら進む必要はない。

だから、比較的ラクと言われている。


しかし・・比較的ラクとは言っても・・

C4の場所、つまり、テントが張ってある4番目の場所、
(サウスコルと呼ばれる標高7900mにある平地に、最後のテントを設営する)

ここを出発したら、そこはデスゾーンと呼ばれる場所になる。

デスゾーン:標高8000m以上は空気は地上の三分の一、何もしなくても疲労していく領域のこと。




通常は、ここからは酸素マスクをつけ、酸素ボンベを背負って行動することになる。

酸欠になると・・頭痛、吐き気から始まり、頭がパンパンに腫れ上がり浮腫を起こして死に至ることになる。
心筋梗塞や脳梗塞とも似ているようで、たとえ助かっても障害を持つ場合もあるらしい。





いかに、ラクとはいえ、それでも最低限度の体力は必要。
    ↓

サンシャイン60ビルの60階展望台が226mなので、この約4倍の高さ、これを階段で上り下りできる体力。
しかも、背中に酸素ボンベを背負うので大きな負荷にも耐えられ、また標高8000m以上のデス・ゾーンでは、体の機能が著しく低下するので、それも考慮に入れた上の体力ってこと



それに、まずは・・酸素の薄い中でも大丈夫なように、時間をかけて体を十分に慣らしておかなければならない。
(慣れるか慣れないかは、個人差があるらしい。)


この2つがクリアーさえできれば、おそらく初心者でも、登頂できる可能性はあると言われているのが、このサウスコルのルートだ。



しかし、この遭難事故は、サウスコルルート(南東稜ルート)で実際に起こってしまったのだ。


それほど技術的には難しいものはないルート、しかも、ちゃーんとガイドが率いる公募隊登山だったのに。




何故このような事故が起こってしまったんだろうか?

映画をみて、Wikiの記録を見れば詳細はよくわかる。
      ↓
1996年のエベレスト大量遭難_Wikiより


・・・・・・・・・・・・・・・

その理由を簡単にまとめると・・


まず、

●これは公募隊だったこと

登山参加者はお金を払って、参加者全員でグループとなって登頂を目指す。
簡単に言えば、ツアーガイド会社に申し込んで、引率者がお客を連れていくようなもの。

そのため、登山一筋ン十年というベテランもういれば、週末やバケーションのみで楽しむ愛好家、一度トライしてみたかったんだよね~という者などもいて、

登山経験の知識、体力も・・実にばらつきがあった。


ガイドは、こういったばらつきをまとめて頂上へ導くのが仕事だろーが!と言ってしまえば簡単だけど、

そこは、8000メートルを超える世界、通常の人間界では無いのだ。


●一行は最終キャンプを深夜に出発して山頂に向かう。 そして日が暮れないうちに帰る必要がある。
(通常、山頂まで行って戻ってくると12時間~18時間はかかるため。
つまり深夜に出発しても、キャンプまで戻ってこられるのは昼を過ぎる。
午後からは天候が変わりやすく、夜になれば、さらに危険度は増す)



実際に、もしも山頂に到達できなくても、「午後2時になったら必ず引き返すこと」、というルールを決めて全員に言い渡していたのだ。

もしも、頂上が残り50m先に見えていたとしても、諦めて引き返すこと・・という厳しいルールを設定したいた。


ところが、記録を読むと、一番最後に頂上に到着したメンバーは、午後の3時過ぎで、降りはじめたのが4時半頃とされている。

ぜーんぜん、ルールは守られなかったということだ。


この状況を考えてみると・・

前日の夜中の12時から歩き始めて山頂までの片道で、なんと、15時間も費やしてしまったことになる。
(いろいろと予期せぬハプニング、アクシデントのため、こんなに時間がかかっちゃったらしいが・・)

しかも、帰りはまた同じ道を戻らなければならないのだ。

いったい何時間歩き続けることになるのだろう?

日中で天候が良くても平均気温がマイナス25度、酸素量は3分の1と言われている場所で。


通常の地であっても、24時間歩き続けるのは大変なことなのに、 デスゾーンでは不可能としか思えない。

実際のところ、事故は帰りの方が圧倒的に多いという。

極度の疲労と酸欠状態のために朦朧として、注意力散漫となり事故死する者、または・・体力の限界が尽きて、単に疲労のため命を落とす人も多いという。


なんだって・・それだけ、厳しい2時ルールを決めてたのにもかかわらず、

チームを率いるガイドでさえも、2時を過ぎても彼らを押しとどめなかったのだ?




そこには、人の事情ってものがある。

実際のところ、公募隊に参加するには、多額の費用がかかる。
1996年当時、6500ドル(日本円で700万円弱ってところか・・)

おまけに、休暇を使って来ている以上、帰りのチケットを買ってる人もいるだろう。


山頂が見えていれば、参加者の心理としては、きっぱり諦らめるのは、かなり難しい。
せっかく、ここまで来たのに、すべてを無駄にしたくない!と思うはず。

また、

ガイド側にしたって、なんとかしてでも,、彼らを登頂させてあげたいと思うものだ。
心情的にもビジネス的にも。

多くの人が登頂成功するほど来年のビジネスにも繋がるわけだから。



その結果、

疲労困憊して、体力を使い果たしてしまった上、猛吹雪に見舞われ、さらに夜になって道に迷い・・ついに、こういった事態を招いてしまったのだ。

ガイドが顧客の体力をしっかりと把握して、きっちりと下山の支持を出していれば、この事故は防げた可能性もあったとは思う。



事故だけは防げただろうけど、おそらく全員が登頂することはまずムリだっただろう。


その理由を見ると、

●リーダーのシェルパに、お客がかなり重い荷物を担がせていたこと。
(それも、登山には不要なもの)

●さらに、歩くのが困難になった客に、腰縄をつけて引っ張って歩いてあげたこと。(親切ちゃー親切なんだけど・・)

そのせいで、体力に限界がきてしまい・・

●最後の難関場所の、ヒラリーステップに、彼がロープを張る予定だったが、それが出来なくなってしまったこと。



そういったことで、大幅に時間がオーバーしていってしまったのだ。

ヒラリーステップというのは、初登頂のエドモンド・ヒラリーが最初に切り開いたとされる標高8760mにある約12メートルの岩場。
これを登り切れば頂上・・というところに位置している。

近年では残置されている新旧のロープが入り乱れている状態で、新しいロープに昇降機(ユマール)を取り付けて体を持ち上げながら、登っていく。
ただし、メチャメチャ岩の足場が悪い。

1953年5月29日午前11時30分(ネパール時間)、エドモンド・ヒラリーと、シエルパーのテンジン・ノルゲイが人類初となるエベレスト山頂到達に成功
Hillary_and_tenzing.jpg




おまけに、登頂を果たして、いざ下山しようとすると渋滞も起こっていた。


ヒラリーステップの渋滞
    ↓
everest_traffic.jpg


ここは誰もが目指す人気ルート、 しかもシーズン中ならば、人も多い。
なので渋滞が起こるのだ。


しかし、平地の渋滞ならば、文句を言いながらも待ってれば危険はないけど・・

神の領域では、寒さで体が麻痺してくる。 帰りの時間は刻刻と過ぎていく。
待つことも命がけなのだ。



チベットではエベレストのことを「チョモランマ」Chomo-Lungmaと呼び、
ネパールでは「サガルマータ」Sagarmathaと呼ぶ。


地元のシェルパ族は、女神が住む世界だという。


彼らもまた、日本の山岳信仰と変わらないものを持っているのだ。



その女神の世界に、地上の世界さながらの渋滞が起こるとは・・

人々は8000メートルの女神の世界にも、地上の意識を持ち込んでしまうのかもしれない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こんな誰でも登るようなルートは、真っ平だ。
エベレストにまで来て、渋滞なんか見たくない!



そう思うなら、別のルートを行けばいいってことになるのだが・・当然、危険はさらに増すことになる。



夢枕獏による小説で、神々の山嶺(かみがみのいただき)というのがある。

2016年に映画化もされたし、ご存じの方も多いかもしれない(私は、映画は見てないんだけど・・)
Everest-672x372-1458840510.jpg

 「神々の山嶺」の主人公が目指すのは、南西壁と呼ばれるルート

 文字通り南西に存在する岩壁を登るルート。

いきなり・・崖なのだ。

ロッククライミングの技術も必須ってことになる。。。


DSC00389.jpg
キャンプ2と南西壁


神々の山嶺は、 南西壁からエベレストの山頂を目指す一人の登山家の話で・・

ただでさえ難所であるのに、主人公の羽生は冬季・単独・しかも無酸素でこの南西壁を目指すのだ。


このルートは、想像を絶する困難さだと言われている。



しかし、実際にこのルートを使って登頂した人がいないわけではない。

 ・1975年 英国隊 初登頂

 ・1982年 ソ連隊 登頂

 ・1988年 チェコスロバキア隊 1名登頂 下山途中全員死亡




ただし、単独で登った人はいない。


もしも、単独で登るならば、隊でルートを確保し、キャンプをあげて南西壁を攻略するところを、
自らの力だけでルートを切り開き、氷の割れ目を迂回し、氷壁を乗り越えていかねばならないということになる。



じゃあ、単独では無理か?といえば・・
チベット側からのアプローチならば、単独で登った人もいる。


エベレスト登山史上、単独で登頂したとされるのは

イタリア人のラインホルトー・メスナー(Reinhold Messner)
reinhold-messner---bergfex-und-superstar.jpeg


そしてイギリス人のアリソン・ハーグリーブス(Alison Hargreaves)
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単独がどれほど、困難なものか?

そもそも、南西壁ルートは、壁攻略だけではないのだ。


こんなアイスフォールを、どうやって一人で正しい道をみつけて進めるというのだろう?
   ↓
icefall.jpg

ここを抜けられる個人が現実にいるのだろうか?



また、南西壁から無酸素登頂した人も、いまだかつていない。



別のルートならば、無酸素登頂をしている登山家もいるし、日本人でも数名いるそうだが・・。

酸素ボンベの重さは、3.5×2が背中にかかることになるけど・・
その分素早く行動できるし、疲労感が軽減される。

酸欠状態になれば、体力は失い、思考力はなくなり、あっと言う間に道に迷うか・・
浮腫を引き起こせば死に至る。

また酸素不足は凍傷を引き起こしやすくなるそうだ。



単独・しかも無酸素でこの南西壁で成功したとすれば・・それはもう、人ではないのかもしれない。

人ならば・・前代未聞の快挙となることは間違いない。



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こちらは、山下健夫さんという登山家が単独で登頂に成功したときの、彼自身がハンディカム片手に命がけで撮った映像。
もちろん、南西壁ルートではないけど。
    ↓


これを見ていると、

未熟な登山者が崖を登れず、最期の力を振り絞って、そこで息絶えてしまった様子や、

横向きで死にかけている(すでに死んでいる人?)を、見捨てて進んでいく様子もよくわかる。

実際に、放置された死体も多いそうだ。

Mount-everest-from-Drukair.jpg

ここは、地上の世界とは全く違う世界。

誰も手を差し伸べる余力はない。

それを、非人情だと言って非難するのは、人の住む地上の世界だけなのだろう。


神の世界は生と死は隣りあわせ
ここでは、助けてくれ!と人にすがることも、人を助けることさえも許されない世界なのかもしれない。



人は決して山に登ってはいけない。
そこは、神の住まうところだから。


これは、日本の山岳信仰でも、よく聞く言葉だ。


チベットでも、聖なる山に登るのは禁忌とされるそうだ。

ブータンでも、1994年 宗教信仰に反するという理由から6,000m以上の山への登山が禁止となったという。


それでも、高い山をみつけて登頂しようとするならば、

人里の意識を全て捨てて、極限状態で生死を見つめに入るしかないのかもしれない。
生死も神にゆだねて。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ふと、そんなことを考えていた日だった。

エベレストで遭難死した栗城史多さんのニュースを聞いた。

私は、この人のことは全く知らなかった。


しかし、ニュース記事を読む限りでは、

彼は、単独・しかも無酸素でこの南西壁に挑戦し続けていたという。

神々の山嶺へ。

参考
節約旅行.info
エベレスト南西壁の難しさ。

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Author:gingetsu2010
アリゾナ州セドナにて、アクセサリー工房Alizona*銀の月*をオープンしてる銀月です!

日々の生活や体験の中から、社会のこと、スピリチュアルなことなど・・思いつくままに書きつらねてます。

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