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一流贋作と呼ばれるマイアットとベルトラッチ

さて、先日の絵の贋作の話の続きに入りたいと思います。

こちらの記事からの続きです。
    ↓
メーヘレンの絵をめぐって


その2: ジョン・マイアット(John Myatt)

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ジョン・マイアットさんは1945年生まれのイギリス人。

こちらは、現代に生きている人ですね。

もともとは絵が好きな美術教師だったそうだが、ある日、妻が幼い子供二人を残して家を出てしまい、育児のために退職を余儀なくされたそうだ。

なんとか生計を立てていかなきゃならないけど・・働きには出られない!

そのため、「19世紀~20世紀の絵画、本物の贋作(Genuine Fakes)を描きます」という広告を出しそうだ。

これなら家で仕事ができるからね~。

せいぜい日本円にして2万円~5万円程度の料金だったそうだし、もちろん、これなら犯罪にはならなかったのだが・・・。


しかし、そこに、ジョン・ドリュー(John Drewe)という人物が顧客としてあらわれる。
彼は、ジョンの才能を見抜き、やがて、彼に本物と偽って売る詐欺を持ち掛けたのだ。

この男、なかなかの山師だったようで・・(笑)
原子核物理学者のドリュー,イスラエルの秘密サービスの代理人、防衛省のコンサルタントなどという肩書を持ち、(もちろん、フェイクだけど・・)

武器販売業やら何やら、さまざまな詐欺を手掛けていたらしい。


http://www.dailymail.co.uk/news/article-1247154/John-Myatt-career-forging-famous-works-art-finally-caught.html

John Drewe

この男
 ↓
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ふむふむ。

いかにも詐欺師らしく、「身なりがよくて知的で上品」を身にまとってる風(笑)



絵画には必ず、来歴を記した資料を、その絵画の所持者となる人(収集家や美術館の館長)へ渡されることになっている。

ジョン・ドリューという男、自分は教授と身分を偽って、偽造書類を作成して売り込んでいたらしい。


はじめは、マイアットさんは、ドリューを顧客と思っていたようだし、ドリューの方は、それを勝手に、本物と称して売りさばいていたようなのだ。 マイアットさんには知らせずに・・。


ところが、時間が経てばマイアットだって気がつく。
気がついたときは、もう遅い!

しっかり共謀になってた・・・というのが本当のところだろう。



結局、ジョン・マイアットの方は、シャガール、モネ、シャガール、ピカソなど、7年間で200以上の贋作作品を描いてドリューに渡し、

ドリューは、有名オークションの、Christie's、Phillips、Sotheby's や、また、ロンドン、パリ、ニューヨークのディーラーに販売し続けたという。

もちろん、本物作品と認められたことは言うまでもない。


ちなみに、Wikiによると・・
    ↓

最初に、アルベール・グレーズ Albert Gleizes)(の贋作をオークション会社クリスティーズに持ち込んだところ本物と鑑定され2万5000ポンド(500万円)で売れ、マイアットは分け前として150万円を受け取った。



ふーーん、マイアットの分け前が少ないような・・(笑)

これは、マイアットが描いたモネ
     ↓
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最終的には、ドリュー関係の方から暴かれ、詐欺行為の証拠となる書類を発見され通報したことで二人はスコットランドヤードに逮捕されたのだ。

マイアットは懲役1年、ドルーは6年の判決を受けた。

しかし、マイアットは実際に刑務所に入っていたのは約4ヶ月だったそうだ。



出所して絵筆を持つことを辞めたマイアットだったが・・

なんと、スコットランドヤードの刑事が、マイアット氏自身の作品として絵の依頼をしたのだ。
それも、5000ポンド(当時の価値で140万円相当)で。

その後、その刑事は、さらに画家としてのマイアット氏を後押しし続けたという。


そのかいあってか・・現在では、有名な画家になってしまったジョン・マイアットさん



200あまりの贋作作品のうち、そのうちのおよそ120は美術市場に流通してしまっているわけだけど・・それはどうなってるんだろう?


おそらく、本物として美術館に飾られているか収集家の屋敷にかけられているのだろう。


彼らは贋作と判明したのちも、あえてその事実を隠す傾向にあるという。
たしかに、名画ともなれば鑑定家やブローカーなどを流通し大金が動くわけだし・・・もしもそれが贋作と判明してしまえば、お金だけの問題でなくなるからだろう。



摩訶不思議な世の中だ。
だけど、それが現実社会というものらしい。


The Art of Genuin Fakes

The true story of the downfall of an amateur artist who pulled off the world's most audacious art fraud Read more: http://www.dailymail.co.uk/news/article-1247154/John-Myatt-career-forging-famous-works-art-finally-caught.html#ixzz54kTqypPm Follow us: @MailOnline on Twitter | DailyMail on Facebook

マイアット氏は、一番大切なのは子供たちだったという。
その生活費のために、贋作に手を染めたと裁判でも証言したそうだ。

そういえば、逮捕時に思春期だった子供たちは、犯罪者の父親をどう受け止めたのだろう?

fabulously cool!・・・だそうだ(笑)

ダディーって、超カッコいい!

世界的美術館やオークションハウスをも翻弄した父の腕前を、むしろ誇っていたのかもしれない(笑)


Who Says Crime Doesn’t Pay


今や、ジョン・マイオットは画家としても成功し、しかも座談会まで開く有名人となったのだ。

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彼は、非常に興味深い言葉を述べている。

「贋作を製作するときは、完全にそのアーティストになりきること。
たとえば、ゴッホは人とのつながりを持てず、とても寂しい人生を送ったはずです。

ゴッホの精神状態、自分らしく生きられないことからくる不安定な状態を表現する、こういったことこそがゴッホの心の状態を現しているのです。」


つまり、絵はテクニックだけではないのだ・・・。

そして、彼は、時を超えて・・ゴッホの一番の理解者だったのかもしれない。
もちろん、ゴッホだけでなく、彼がなりきったすべてのアーティストたちの。。。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その3: ヴォルフガング・ベルトラッチ(Wolfgang Beltracchi)

1951年生まれのドイツ人。 もともとの名前は、Wolfgang Fischer
フィッシャーさんという姓だったんだね~。

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彼の父親はアート作品の修復と壁画家をしていたようで、彼はそんな環境で生まれたそうだ。

14歳のときに、はじめてコピーしてみたのがピカソの作品、その後、ドイツの美術学校に通うも、そこは放校させられたという。

素行が悪かった? または、子供の頃から型にはめられるのが苦手だったのか・・(笑)

そのため、彼の絵はほとんど独学だそうだ。


ドイツ人でありながら、アムステルダムとモロッコに住み、また、マヨルカ、スペイン、フランスにも住んでいた彼。

1992年にヘレーネ・ベルトラッッチ(英語名だとヘレン)という女性と出会い、1993年に結婚した後、ここで彼女の姓を使うことになったそうだ。


それから妻と二人三脚で贋作を始めたという。


彼の場合は、単に贋作作品を作り上げる才能だけではない。

美術史、絵画の理論、美術業界、鑑定方法、技術のすべてに造詣が深く、作家ひとりひとりの人生についても調べ上げているのだ。

既存の作品の精巧なコピーではなく「本人が描いたオリジナル作品」を生み出していく。


まあ、ここらへんのとこは、メーヘレンとも共通する。



ところが、2006年に些細なことから発覚することになった。
絵の裏の美術商のラベルが贋作だとわかったことから、発覚となったという。

さらに、どんどん波紋を呼び、
現代アートの殿堂とまで言われた、ポンビドゥー・センター(Pompidou Centre)の元館長、シュピース氏を騙したことで大きく取り上げられることになる。

*フランス・パリ4区(セーヌ川右岸)にある総合文化施設。フランス語での正式名称は Centre national d'art et de culture Georges-Pompidou[† 2](日本語訳の例:ジョルジュ・ポンピドゥー国立美術文化センター)


 これが元館長さんのシュピース氏
         ↓
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Werner Spies rehabilitated with Max Ernst show in Vienna

1997年から2000年にかけてパリのポンピドーセンターのディレクターを務めた人であり、エルンストとピカソの親友で、1971年にピカソの彫刻のカタログシリーズを編集し、1975年にパリのグランド・パレで初めてのマックス・エルンストの回顧展を開催した経歴がある。

ベルトラッチは、そんな人に、なんと、マックス・エルンストの7枚の絵を売ったのだ。

もちろん、世紀の大発見、真作だと偽って!

なんとまあ、大胆不敵な(笑)


さらに、シュピース氏が、この鑑定の際に受け取った巨額の鑑定料を、タックスヘイブン(租税回避地)の口座に入れていたことにより問題はさらに複雑化。

しかも捜査時に、この事をシュピース氏が話さなかったため、真相の解明が遅れて、贋作のいくつかが再び市場に出回るという事態にも陥った。

なかなか美術界というのも黒い世界と見える。。。



こちらが、マックス・エルンストの贋作を作るベルトラッチ
       ↓
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2008年、マックス・エルンストの『森』の贋作から、オリジナルが製作された1927年当時使用されていなかったとされる顔料(白チタン)が発見されたため、贋作の証拠をつかまれたそうだ。


結局わかってるだけでも、マックス・エルンスト(Max Ernst)、ハインリヒ・カンペンドンク(Heinrich Campendonk)、フェルナン・レジェ(FernandLéger)、Kees van Dongen(キース・ヴァン・ドンゲン)などの有名アーティストのオリジナル作品の偽造品を販売し、

合計4500万ドル(2860万ポンド)で売却された14作品の芸術作品を偽造したとして有罪判決を受けたのだった。



2011年10月27日、ベルトラッチは懲役6年の判決。彼の妻ヘレーネは4年。

ところが、刑務所に送られたにもかかわらず、ヴォルフガングは一定期間家に帰ることが許されいて、彼らは友人のフォトスタジオに雇われて、午前中に刑務所を出て、仕事後に戻る生活をしていたようだ。


なんとまあ、ジョン・マイオットも同様だったけど、刑罰とはいっても、ベルトラッチさんもまた、非常に優遇された軽い刑だったようだ。


とにかく、関係者は贋作だと気がついても、訴えない場合も多い。

また、ヴォルフガングさんの言葉を借りれば、「彼らは、いつも有名アーティストの真作発見を心待ちにしている」そうだ。

たしかに、そんなシロモノが見つかれば、みんなが飛びつく!センセーショナルな出来事なのだ。
そして、関係者はみな大儲けできるんだから。


悪く勘ぐれば、本物かどうか、怪しい気がする・・と思いながらも徹底的に調べずに本物だ!と認めてしまったのかもしれない。

少なくとも、悪気はなかったとしても、心理的に「そういった気持ち」が働いたのかもしれない(笑)




で、当人の、ベルトラッチ夫妻は、犯してしまった罪を深~く反省してるんだろうか?

いやいや、NO!・・・だと思うなあ(笑)


仲良し夫妻
  ↓
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世間もまた、犯罪者呼ばわりするどころか、彼を天才贋作アーティストとして一躍有名人にしてしまった。

今でも、ある美術館では、真作の本物作品とあえて、並べて彼らの贋作を展示しているところがあるという。


いくつかのドキュメンタリー映画も作られ、写真集やら座談会やらインタビューやらで、彼らはみな有名人だ(笑)



妻のヘレーネは、「彼の天職だし、私はその才能に魅了されてます!」とまで言い切っている。

彼らにとっては・・

贋作は犯罪、そんなことは承知の上、
しかし、人として罪を犯したとは思っていない。
むしろ、これが天職だと思ってる(笑)

だから、楽しみながら完全犯罪を企む。
そして・・もしも捕まったときは、潔く刑に服する。
ただ、それだけ。




なぜか、欧米諸国においては・・メーヘレンもマイアットも、ベルトラッチに対しても、一級の贋作アーティストとの名声を得たわけだし・・・

そのせいか、びっくりするほど、刑は軽く、出所すると一躍有名人だ。

欧米人は、そもそも、一流、天才、努力家には、寛大になるのかもしれない(笑)


それがいいのか悪いのかは別として・・

しょせん、刑法なんて、そんなものかもしれない。
人が作ったものなんだから、最終的には、大多数の意思で決められてしまうものかもしれない。

.......................

しかし、面白いものだ。

本物ならば、ン百万円もするようなものが、偽物と断定されれば、せいぜい1万円まで値が下がる。

蚤の市でみつけて600円で購入した皿が、有名陶芸家のものとわかり、数百万円になってしまうこともある。

街中で購入した二束三文の茶碗を千利休が購入して、大名に法外な値段で買い取ったなんて話だってあった。



ネームバリューというヤツだ(笑)

バブルの80年代には、若い女性たちは、有名ブランドに飛びついたものだ。
当時、私が働いていたオフィスでは、5人の女性がいたが・・彼らはみな、バッグはエルメスのケリーだったし、靴はフェラガモだった(笑)

たしか・・ケリーバッグが50万円位だった時代。
ただし、ちょっと専門分野を学んでさえいれば、派遣社員の女性たちも時給2000円近くもらえた時代だった。


こうなるともう、みんなが似たような服装で・・まるで、制服だ!

制服嫌いの私だけが、浅草の職人に頼んで、オーダーメイドのバッグを作ってもらった。
そして、KYと呼ばれることになった(笑)・・・もちろん、その当時はKYという言葉は存在してなかったけど。



こういった当時の女性心というものは・・クリスティーズで名画を競り落とす人々と似かよった心理なのかもしれない。

だからこそ、贋作も真作とされるチャンスが多いとも言えそうだ。



ある鑑定家が、こんなことを言っていた。

「結局、我々が鑑定できるのは、2流の贋作作品までなのだ。
一流の贋作作品ともなれば、作者側が何らかのミスを犯すまではみつけられるものではないのだ。」



となると、たしかに・・・

「美術館で鑑賞してる絵が贋作」ってことも、大いにありえそうだ。


1917年のHeinrich CampendonkによるTiereと、科学的分析を経てCampendonk様式で描いたのWolfgang Beltracchiの絵
   ↓
800x-1.jpg



ベルトラッチは語っていた。

「エルンストを天才とは思わないね。
エルンストのオリジナルより、私の贋作のほうが美しい。なぜなら、私は彼の作品に加えているからさ。


これは、決して負け惜しみではないのだろう。

そして、彼の妻も娘も、こういった彼を今もなお、誇りに思っているようだ。




参考
Could Wolfgang Beltracchi be the Original Fake?

https://www.youtube.com/watch?v=h2P3VwqnjWY&list=RDh2P3VwqnjWY&t=41

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