砂の器をみて思う「想像力」

きのう、砂の器という古い動画がアップされているのをみつけた。

たしか、これって、松本清張の小説だったはず・・・それも、高校生の頃読んだような?
他にも、点と線ゼロの焦点ってのも、読んだような記憶が・・・。
(でも、その程度の記憶であいまい。)

それで、ふと、この動画を見てみる気になった。

1974年版と2004年のリメイク版というのがあったし、割と最近にTVドラマ化されてるのもあったんだけど・・とりあえず、古いヤツからいってみよう!

ってことで、1974年版を見た。

img06.jpg

いやあ、びっくりするくらい古い俳優さんたち、それも名優と呼ばれた人たちがいっぱいだった。(←当たり前だ!40年以上も前の映画なんだから。)

ご存じのとおり、これは、推理小説の映画化で、

◆名探偵という設定ではない、フツウの刑事が事件を暴く。

◆唯一の手掛かりが、東北弁のカメダという言葉、
ところが東北だとばっかり思ってたら、出雲地方の一部でも非常に東北弁と似通った訛りがあることがわかる。
(ここらへんが、松本清張らしいってカンジ。)

◆素性を隠して栄光の座を手に入れた犯人が、最後に犯罪を暴かれて転落。
(ここらへんは、まあ、今では珍しくない展開)

◆全体を通して流れるのが、「宿命」という言葉

◆そして、ハンセン病


こういったところが、ポイントになってる。

さすがに、存在感のある役者さんばかりで、映画としても面白かったんだけど・・

ひとつだけ、私には、なーんか違和感が残った。

宿命って何?

犯人に、ずーーとついて回る言葉が宿命、
ピアノ協奏曲の題名も宿命だし、後半はずーーと、この曲が流れるほどの力の入れよう。
おそらく、この映画のテーマも宿命


映画の中では、主役の口を借りて、「宿命とは生まれたこと、生きていること」と説明されているんだけど・・。

なーんだか、ぴんと来ないつーか、むしろ安っぽく感じてしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日、たまたま日系人のおじいさんと話す機会があって、病気の話題になった。

「そういえば、昔はハンセン病って怖い病気があって、今のエイズみたいに隔離されたり、もっとひどい人種差別を受けた時代があったんだってね?」

私が、ハンセン病、なんてことを言い出したのは、たぶん、この映画が頭に残ってたからだと思う。


「ああ、そうだね、昔はライ病って呼ばれてね、僕の時代はもう、ライ病は聞かなくなってたけど、昔はウチの先祖の田舎でも、ライ病関患者が出たことがあったようだし、その家は村八分にされたりしたってことを聞いたことがある。」

「醜く崩れて障害を残す病気だそうだし、それに人に感染する病気だから、恐れられて、そんなに差別されちゃったのかな?」

「それもあるけどね、 昔は、ライ病にかかるのは、過去の業によるものだとか呪われたものって思われてたそうだよ。」


参考: ハンセン病とは

宿業?

先祖代々からの悪行によって、呪われたと血というようなことだろうか?

そこで、あ!っと思った。


だから、「宿命」って言ってたんだ!


殺人を犯した動機は、

「せっかく栄光を手に入れたのに、自分のみじめな過去を知ってる人に、それをばらされたくなかったから」、なんて・・そんな単純な理由じゃなかったんだ!

さすが、松本清張だなあ。(と、いまさら・・感心!)

従来の古いタイプの推理小説だと、びっくりするようなトリックや名探偵の推理ってのが、見せ場になってたりするんだけど、
松本清張さんの特徴としては、犯人の動機、心の機微に焦点を当てているものが多かったような気がする。

これも、そのひとつだったんだね。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そこで、新しいバージョン、TV版も見てみよう!と思ったんだけど・・どうやら、ニューバージョンでは、ハンセン病というのが出てこないらしい。

それじゃあ、

ハンセン病=呪われた血、宿業
子供時代: 流民となって宿業を背負って生きる親子、その中で通い合う親子の情愛
成人して: 一人で抱え続ける宿業、


までは、とうてい表現できないだろうなあ。

私が最初に思ったみたいに、

「地位と名声を保つために、自分のみじめな過去を抹殺するため、過去を知ってる人を殺した」
ってだけで終わっちゃいそうだ。

そうなると、当然、作品は薄っぺらになってしまうんじゃないかな。

おそらく、原作の松本清張さんが描きたかったものは、そうじゃないと思うんだけど・・。

・・・・・・・・・・・・・・

しかし、現代は、視聴者に合わせてリメイクしないと売れないそうだ。

現代の若い世代では、ハンセン病という名前すら知らない人が多いと聞く。

現代の人が現代の感覚のままでもわかるような作品にするためのリメイクは必須・・ってことのようだ。

わからなけりゃ、面白くないだろうし、そうなると、たしかに・・売れない!ってことになるだろう。

こっちはTV版の新しいヤツ、まだ見てないけど・・↓

20110907_2500409.jpg


だけど、それでいいのかなあ!

原作者の心は伝わらないどころか、まったく別のもの、形だけで魂が入ってないような作品になっちゃいそうだ。


そういえば・・最近は、そういった作品が多いんじゃないかなあ?


たしかに、私だって・・ハンセン病が昔、ひどい差別を受けてたことは知ってたけど、それが血に流れる宿業、と思われてた・・なーんてことまでは理解してなかった。

だから、宿命って言葉にも、違和感を感じちゃったわけだもん。

でも、それがわかったとき、痛いほど犯人の心情が理解できたし、感動する作品に代わってくるんだよね。

だからこそ、そこがまた、映画や小説って面白いなあ!って思う。

なーんも苦労もなくわかったものは、さらさらし過ぎてしまって、そのとき面白くても、すーーと消えちゃうような気がする。



自分の高校時代とか学生時代を振り返ってみると、今以上に、難しい!って思える作品がいっぱいあったような気がする。

トルストイ、ドフトエフスキー、カミュ、カフカ、ヘッセ、なんて、昔はけっこう読まれてたけど・・外国だし、昔だし、言葉も言い回しも違うし、1回じゃわからないことも多かった。

日本の作品だって、夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介なーんていったら、そりゃ、私たちから見れば、平家物語や枕草子とも変わらないような古典だもん。

よその国みたいなもんだ。


それでも、同じ人間の作ったものなんだから、時代や国が違っても心情が理解できないはずはないわけで、

そこで、なーんとなく惹かれる作品だなあ、って感じたものは、自分なりに想像しながら、時代考証をしたり調べたりしながら、何度も見る、何度も読む・・なんてことをしてた覚えがある。

当然、わからない言葉は辞書で引いて、その意味を場面に当てはめて覚えていった気がする。


そーんなこと、よくしてたなあ(笑)

見えなかったものが、1枚1枚ベールを剥がすように見えてくると、ああ、そうだったんだ!、とますます感情移入できて愛着がわいてきたものだった(笑)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しかし、現在の方々には、そんなヒマさえないのだろう。

だから、1回見ただけ読んだだけで理解できないものは、さっさとスルーしてしまう。

だからこそ、製作者も一般視聴者に合わせたものを提供しようとするのかもしれない。

または、その逆?
製作者が先に視聴者に媚びたものばかりを出すから、視聴者はそれしか受けつけなくなっちゃうのかも?



そこんとこは、わからないけど・・・残念だよなあ。


それじゃあ、現代は、現代感覚がそのまま受け付けられる作品以外は、どれも受けつけられないってことになっちゃう。

そうなると、時代物なんて到底無理だろうなあ。

時代劇離れも納得だね!


もちろん、ファンタジー時代劇ならば、なんでもアリで現代感覚でもOKなんだけど・・・

NHKの大河ドラマが、ファンタジーともリアル時代劇とも呼べない中途半端になってるのをみると、がっかりすることも多い昨今。(今年の三谷作品はいいカンジだけど!)

たとえば、

最近の大河ドラマにありがちなパターン。
     ↓
●武家社会の姫君が、お家どうしの結婚なんて嫌だ! 女をお家のための道具に使うな! 私は好きな人に嫁ぎたい!って言っちゃったり。

●側室をいーーぱい持ってた武将なのに、まるで正室一人だけのように書かれてたり。(妾をいっぱい持つことは今の常識に反するので、現代の奥様方を不快な気分にさせないため、という配慮なんだとか・。)

●主役は、いつも民の味方で、早く戦を終らせて平和の世を作るために、やむなく戦さをしたとか、相手を滅ぼしたとか・・。
(まるで、第二次世界大戦終結させるために原爆を落としたアメリカさんか?)



そう、完全に現代の価値観と、現代の善悪感情にすり替えて作ってしまってる。(笑)
だから、史実と辻褄が合わなくなってくる部分も出てくるわけで、そうすると、無理やり不自然な形で抑え込んじゃったりする作品が出てくるんだよね。

そこまでしなきゃ、現代人に受け入れられないのならば、なーんで、わざわざ、大河ドラマなんて作る意味があるんだろ?
・・・と、私は思ってしまう。

価値観も善悪も、時代と地域によって違うのは当たり前だもん。


むしろ、その時代の価値観を理解することが、その時代の登場人物の心情を理解することになるわけだし、そこが面白いと思うんだけどなあ。

これは、時代劇の話だけじゃなくって、歴史を勉強することも、同じなんじゃないかなあ?

今の価値観を持ちだしたら、ちっとも理解できない。



それにしても・・そんな歴史や時代劇どころとか、松本清張の時代(昭和の時代)まで、現代版に書き換えちゃうところが・・すごい。

これじゃあ、ますます、狭い視野しか持てない人々を作り出す結果にもなっちゃいそう・・。

・・・・・・・・・・・・・・・

ところで、違う時代や違う国の人を理解するのに、一番大切なことってなんだろう?

想像力じゃないだろうか?
もちろん、その裏づけとなる知識も必要にはなってくるけど・・。

わからなければ調べる、今度は、調べたものを想像してみる、 → そうすると、だんだん見えてくる。

●役者が演技するのに一番必要なのは、想像力だそうだ。
肌で理解できる想像力がなければ、形だけの演技になってしまって視聴者には伝わらないと、聞く。

●言葉を覚えるのも想像力
たとえば・・辞書で、彷徨という言葉を調べると、さまよう、うろつく、と書いてある。

(私の場合、彷徨=さまよう、うろつくを、そのまま、頭で覚えようとしても、なかなか覚えられないのだ。たぶん、私は、かなり記憶力が悪いおバカ!
ところが、それを映像化してイメージでとらえると、こんな私でも一発で覚えられる。


泥棒が金目の物が置いてありそうな家を探してうろつくのか、浮浪者がうろつくのか?

風が吹きすさぶ荒涼とした原野を死に場所を求めてさまよっているのか?
そのときの風の匂い、気温まで想像してしまう・・・(笑)

私のイメージはこんなカンジだった(笑)
   ↓
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そうやって、イメージして想像力を膨らませる。
もちろん、英単語もそうやって覚えたんだけどね・・。(笑)



たぶん、映画や小説も同じような気がする。

面白いと思えるかどうかは、想像力がどれだけ膨らませられるかで決まるような気がする。

ひょっとして、現代人に欠けているのは、そういった想像力かもしれない・・と、ふと思った。


過去に自分が体験したことなら、当然、誰にだって想像はつくだろう。

しかし、一度も体験したことがないことや、過去の時代、よその国のことを理解しようとしたら、それは想像力でしかない。


想像力=感知能力 だろうか?

あれれ? って・・ことは、

霊媒体質 = 感知能力 = 想像力 とも関係あるんだろうか?


うーーむ、そこんとは、イマイチ、わからないけど・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

そういえば、私の好きなマンガのひとつに、岡野玲子作、陰陽師 というのがある。
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全部で12巻あるんだけど、最初のうちは、夢枕獏さんの小説同様に、安倍晴明(あべのせいめい)と源博雅(みなもとのひろまさ)が登場して、さまざまな事件に突っ込んでは解決ささせていくく話なんだけど、それが、10巻あたりから、がらっと変わっていく。

かなりの読者の方が、

「なんで、あそこまで暴走させちゃうわけ! 最初はとっても面白かったのに!」

「なんで、平安時代なのに、エジプトが出てきちゃうわけ? 支離滅裂でぶち壊し!」

って感想がとっても多い(笑)

そりゃあ、そうだ!(笑)

たしかに、紀元前のエジプトに飛んだり、アレキサンドリアのピュパティアが登場したりしてくるんだもん(笑)



おまけに、平安時代の小道具や、その他の語句のひとつひとつに解説があるわけじゃないから、最初はわからない語句は適当に想像して、読み飛ばすしかないわけ。

たとえば、

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ここで、「まろの座は繧繝縁(うんげんべり)ときまっているが この際 許してつかわそう」と言ってるんだけど・・・このときの私は、うんげんべり?? って、知らない言葉だった。

まあ、なんとなく、「私が上席に座るんだ」って言ってるんだろうなあ・・とは想像できたけどね。

その後、調べてみると、最も格の高い畳縁のことだそうで、天皇、三宮(皇后・皇太后・太皇太后)、上皇が用いたとのこと
画像はココ



こうやって、これってどうゆうもの? この部分は、どうゆう意味だったのかな?って、あとから、さんざん調べた覚えがある(笑)

もちろん、私には、わからない部分があってさえ、ひどく惹かれる作品だったので、自分なりに調べる気にもなったんだと思うけどね。

この作品のおかげで、陰陽道はもとより、大和時代~平安朝については、ずいぶん勉強させられたものだ。 
おまけに、和歌や漢詩までもだ・・(笑)

最初はびっくりした、エジプトでさえ、ちゃんと、この物語と整合性がとれてることがわかってくるし、なんと、そこまで深く考えて作られてるのか!と 感嘆した覚えがある。


ところが、人によっては、

「あの陰陽師には失望したわ! 読者が調べたり勉強しなけりゃわからないような作品を書くなんて、まるで、上から目線で知識が無い人は読むな!ってバカにされてるようで、嫌なんだよね!」

という人もいる。

でも・・・それは違うと思うのだ。

すべての作品が自分に合わせたものにしてもらうのが当たり前だと思ってしまったら、作品とは呼べない気がする。
それは、使い勝手の良い実用品と同じだ。


作品によっては、どんなに難しい言葉や現代では一般的に使わない言葉であっても、その言葉でしか表現できないって場面もあるわけだし、それだけ、言葉ひとつの意味や、その響きにさえも、こだわって作られている作品も多いと思う。

そういったものすべて解説をつけてしまったら、今度は興ざめになっちゃうからね~。

だからこそ、そういった作品に対しては、逆に読者の方から歩み寄っていく努力が必要なんじゃないかな?って思うのだ。

歩み寄って、少しずつ見えてきたとき、そして、作者の思いを共有できたときは、
「ああ、こんな深いものだったのか~。」と、しみじみ感動することができる。

それがまた、楽しい~♪


多くの作品が読者のニーズに合わせて作るコンセプトになってしまってる昨今、この作品は、稀にみるものだったと思う。

もっとも、中には不必要に難しい言葉を使って、ほ~れ、俺様って頭いいだろ!みたいな上から目線作品が存在するのも確かだけどね・・・自分をアピールするための作られた作品なんて、当然、中身は乏しいもんだし・・私は、まず読まない(笑)、間違っててにしちゃったら、さっさと途中で投げ出す(笑)


その違いは、直感的に、すぐわかると思う。
伝わってくるものが違うから。


やっぱり、想像力なのだ!

映画や小説も、すべては想像力。

他国の人や、別の時代の人を理解するのも想像力。

もちろん、人の痛みや苦しみを理解するのも、想像力がなければできないことだろう。

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Author:gingetsu2010
アリゾナ州セドナにて、アクセサリー工房Alizona*銀の月*をオープンしてる銀月です!

日々の生活や体験の中から、社会のこと、スピリチュアルなことなど・・思いつくままに書きつらねてます。

皆様にも「スピリチャアルの意味」「生きる意味」を感じて頂けたら、幸いです!☆

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