現代とキング牧師とモーセ

友人に現地ロサンゼルスの旅行会社で、日本人旅行者のためのドライバーやガイドをやっている人がいる。

その人が、こんなことを愚痴っていた。

「日本人の観光客ってさあ、チップを払うって習慣がないせいか、ぜんぜんチップを払わない人が半分なんだよねー。もう、最悪!
とくに、JTB経由で来るお客さんて、まず、ほとんどがチップを払わないんだよ!」

「え?なんで?」

「ウチの会社に聞いたら、日本のJTBでは、ガイド及び送迎料金には、チップが含まれてます!って言って、お客に売ってるんだそうだ・・・だから、当然、お客さんは、払う必要がないって思ってるんだって。」

「それなら、仕方ないよ! でも、現実には、そのチップ分は会社からもらってないって事?」

「そうなんだよ!それで、ウチの会社に問い合わせたら、日本のJTBとそんな約束事はしてない!って言うんだ。JTBがかってに、そんな事を言って、それをウリにしちゃってるんだって!」

「もし、それがホントだとしたら、大嘘ついてるってことじゃない!ちゃんと自分の会社に言って、交渉して、即ウソはやめるように言ってもらわなきゃダメでしょ!」

「僕たちも会社側には、何度も言ってるし、会社からも日本サイドに、それはやめるように!って話してるのに、聞いてもらえないんだそうだ。現地の会社もJTBに切られたら、困るからじゃない?」

「それは、ひどい話だね!結局、会社側に好きなようにやられて、損するのは、現場で汗水流して働く人たちってことじゃない?」

「そーゆうこと!」

「だったら、すぐに、ドライバー全員で一丸となって、ストライキをして、仕事をボイコットすれば?
困るのは、会社サイドなんだから、絶対、改善してもらえるよ!というか・・それって、当然の権利でしょ!」


まず、ちょっとここで説明しますが・・・アメリカでは、客が、チップを払うというのは、当然のことになっています。

レストランやホテル、バレットパーキング(車を駐車するときに、係員がキイを預かって車を移動してくれて、出るときには、ちゃんと持ってきてくれるような駐車場のこと)など、人の手を煩わせるサービスには、サービス料として、チップを払うことになっている。

日本では、チップというと、「心づけ」と考える人が多いようで、給料とは別に、特別親切なサービスをしてもらった場合のみ、払えばいい・・というような感覚があるんじゃないかと思う。
しかし、アメリカでは、特別、最悪なサービスを受けて気分を害した場合は除いて、支払うのが当然・・という考え方なのだ。
それは、つまり、従業員の給料の一部という考え方なのだ。一部の給料は、客から直接貰うというのが、こちらのルール、習慣なのだ。

そのため チップを払いたくないケチなアメリカ人、または、お金が無い人は、安いビジネスホテルを利用し、ファーストフード店で食事し、もちろん、バレットパーキングなんか使わない。

しかし、日本人観光客は、その習慣を知らないせいか、または、「サービスは当然、無料」と思うるせいか、支払わない人が多いようで、アメリカ人には、かなり評判が悪いって話もよく聞かされる。



とにかく、この話、日本側でツアーの販売する会社に非があるのか、もしくは、本当はチップ混みの料金として契約してるのに、現地旅行会社が知らないフリをしてるのか・・または、両者で共謀してるのか??



こういったことは、おそらく、この業界に限らず、どこにでも、よくある話なのかもしれない。

「それで、なんで、訴えないの? なんで、ストライキを起こさないの?」

「そんなクレームをつけて、仕事をもらえなくなったら困るからだよ!」

「全員でボイコットすれば、勝ち目はあるでしょ!」

「いや、そりゃムリだ!全員の足並みなんか、揃わないよ! 家族がいるヤツもいるし・・仕事がなくなったら困るってヤツもいるし、そんな事したって、どうせムリだ!って、初めから諦めてるヤツもいるし・・・一人や二人の人間が立ち上がって、クレームつけたところで、そいつらが首になって終わるだけだよ。仕方ないんだよ!」


私は、仕方ないんだよ!・・という言葉が大キライ!
文句いいながら、我慢するヤツも大キライ!

なーんて言うと、必ず、「君みたいな理想論を言ったところで、世の中は、それじゃあ、通らないんだよ!」・・と、したり顔をされる。



「ルーサー・キングの話は、知ってるよね?」

「は? なんだよ・・いきなり・・。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

マーティン・ルーサー・キング・ジュニアってご存知だろうか?

キング牧師の名で知られ、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として活動した人で、決して暴力に訴えることなく、最後まで非暴力を貫き、権利を勝ち取った人。

MartinLutherKing20Jr_20Pic1.jpg


アメリカって国は、1862年に、奴隷解放をしてるんだけど、実際は、白人による黒人差別は相変わらずひどいものだった。

特に学校やトイレ、プールなどの公共施設やバスなどにおいて、白人と非白人(白人じゃない者すべて)の区別が、しっかりされていて、それが、ちゃんと容認されたままだったのだ。

「自由で平等な民主主義のアメリカ」ってのは、白人世界だけの話。


1955年、アラバマ州のモンゴメリという場所で、バスに乗っていたローザという黒人の主婦が、白人のバス運転手の命令を無視して、白人乗客に席を譲らなかったことで、逮捕される。

そこで、キング牧師は、黒人全員に呼びかけて、バス乗車ボイコット運動をはじめたのだ。

彼らは、何人かで車に同乗して勤め先に通ったり、また、中には、親切な白人雇用者が、車で迎えに行ったり、その他のものは、何時間もかけて徒歩で通ったそうだ。

結局、市のバス事業は、黒人乗客が乗らなくなったため、財政破綻の危機に陥ってしまい、
1956年、連邦最高裁判所は、モンゴメリーの人種隔離政策に対して違憲判決を下した。

一切の暴力を使わず、見事に黒人の権利を獲得した。

詳しくは、ここをどうぞ↓
http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/rosa-king.htm



何代にもわたって、白人に支配されてきた黒人たちは、ほとんどの人々が奴隷のままの感覚で生きている。
白人に命令され、従うことが、もはや当然となってしまっている人が多かったようだ。
黒人として生まれたんだから、仕方ないだろう。。。と考え、諦めている人も多かったようだ。

または、一部の過激派は、「白人は敵だ!」と、暴力で反抗しては、捕らえられたり、殺されたりを繰り返していた。

そこで、みなさ~ん!ローザさんが、逮捕されちゃいました!
さあ、みんなで、バス乗車ボイコットをしようじゃないか!


なーんて言ったって、フツウだったら、ほとんどの黒人たちは聞いてもくれないはず。

自分の命も惜しいし、家族だっている、それに、仕事だって無くすかもしれない、そんなリスクを背負って、白人に嫌われることをしなくたって・・・我慢してれば、無事に過ごせるじゃないか!
そうやって、俺たちは、ずーーと、我慢してきたんだから!

ローザってヤツは、なんで、席を譲らなかったんだろ?
バカなヤツだ!
そんなヤツのために、俺たちが大きなリスクを背負ってまで、バス乗車ボイコット運動なんか、できるか!ってんだ!!


こう思うのが、一般的なのだ。。。

または、

それなら、白人連中に報復してやればいい!
バスや白人の家に放火してやろう!
・・・なーんて、過激派もいたりして・・。

こんな状態だったのだ。。。


そこを、ほとんどの黒人たちに、この運動に参加する気にさせてしまった、キング牧師は、やはり、すごい!

彼は、法律に詳しく、もちろん優秀な頭脳を持ってただけじゃなく、スピーチの天才だったようだ。
彼の名演説は、多くの諦めかけていた黒人の心を動かし、また、道理のわかる白人たちの中にも、多くの支持者を作っていった。

もちろん、キング牧師自身も、この運動をはじめると、白人警官による不当逮捕や、自宅を爆破されたり、何度も命の危機にさらされている。
もちろん、彼だけでなく、それは・・・彼の家族にまで及ぶような状況だったはず。

しかし、だからといって、やめるような人じゃない。
彼の妻もまた、彼と同じく、強い意志を持った同胞だったんだろう。


そして、最終的にキング牧師の勝訴が決まった。

そのときの判決結果についてこう述べたそうだ。
「この結果は白人に対する黒人の勝利ではなく、アメリカの正義と民主主義の勝利なのです」 

・・・・・・・・・

奴隷を解放に導いた話は、別に、アメリカの黒人に限らず、世界中にあったことだろう。
そして必ずや、賢く、強い意志の持ち主、しかもカリスマ性のある指導者が現れ、彼らを導くのだ。


めちゃめちゃ古い話に飛ぶが、モーセがヘブライ人を導いたのだって、同じだったと思う。
あの、モーセの十戒で有名な、モーセさんの話ね!

長年エジプト人に支配され、ヘブライ人は奴隷のような暮らしをしていたとき、モーセは最終的にファラオを説得し、ヘブライ人すべてを率いて、エジプトを後にする。

そこに、エジプトのファラオが、いきなり約束を違えて、軍隊を差し向けてくる。
ヘブライ人を皆殺しにしようと、押し寄せてくるのだ。

前面は海、もう逃げ場は無い! 絶体絶命!

そうすると、ヘブライ人の中には、

「やっぱ、奴隷的な状態のままであってもエジプトにいた方が、よかったんだ!」

「こんなヤツに従ったばかりに・・!」

と不平をもらす者も現れる。

もう!絶対、自分では事を起こさず、大きな権力に巻かれてた方がラクって考える人、くっついてきたくせに、土壇場になると人のせいにする人・・紀元前の昔から、いたんだね~。

そのとき

じゃーーん!

RIMG0335.jpg

モーセが奇跡を起こす。

海がまっぷたつに割れ、ヘブライの民の逃げ道を作る。

10cm40.jpg

・・・という内容が伝わってるんだけど・・・。

まあ、あまりにも古いことなので、ほんとうに、モーセが超能力者だったか?なんて、ことは、わかりません。


ただ、このモーセもキング牧師と同様に、奴隷のような暮らしのあまり、心まで奴隷化してしまった人々を、明日へと導いたことだけは、確かじゃないかなあ~。

奴隷の立場でいることだけじゃなく、心が奴隷化しちゃうってのが、一番怖いような気がする。


こうやって見ていくと、
紀元前の昔から、そして現代も・・なんだか、ずっと同じなんじゃないかな!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・と、延々と、友人に語ったわけなんですが、

「どーよ!キング牧師とモーセの話、わかった?」

「うーーーん、よーーく、わかったけどさ~、僕は、キングさんやモーセさんのような器じゃないし~、それに、カリスマ性ゼロだと思うんだよね。おまけに、スピーチは、大のニガテだろ?」

「ああ、たしかに~。キミ、ダメだわ!人を納得させるスピーチが出来ないと、そりゃダメだろうなあ。。。
じゃ、どうするんよ! 奴隷化した民のごとく、じっと我慢していくつもり?」

「いや、僕も、さっさと辞めるさ。だいたい、ウチの会社、もともと従業員の入れ替わりが激しいもんね。」

「なーるほどね~!」

「カリスマあふれる、現代版モーセがキングが現れない限り、変わらないと思うよ。」


もちろん、私だって、モーセやキングさんにはなれない。とっても、そんな器じゃない!



ただ、現代版モーセかキングが現れたとき、せめて、先頭きってついていく人でありたいと思う。
最大の支持者でありたいと思う。

多くの民が、心を動かされ、指導者についていくようになると、必ず、どっちつかずの人間も多数の方についていくようになる。

しかし、そういった人間に限って、苦境に立たされると、今度は指導者のせいにする。

そして、「やっぱり、何もしない方がよかったんだ。このまま、奴隷でいたってよかったんだ!」なーんて、言い出す。

そんな人間だけには、ならない。
大きく変わるきっかけを作ってくれた人に、感謝する人でありたいと思う。
たとえ、その結果がどうなろうとも・・。

「ところでさあ、なんで、チップを貰えない!って話が、キング牧師とモーセになったんだ?」

「さあ?」


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Author:gingetsu2010
アリゾナ州セドナにて、アクセサリー工房Alizona*銀の月*をオープンしてる銀月です!

日々の生活や体験の中から、社会のこと、スピリチュアルなことなど・・思いつくままに書きつらねてます。

皆様にも「スピリチャアルの意味」「生きる意味」を感じて頂けたら、幸いです!☆

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